This entry is part 1 of 2 in the series ブロックチェーンが創る世界

2015年9月28日、弊社テックビューロでは「mijin」というプライベートブロックチェーンのソフトウェアを発表した。

その直後にMUFGがR3コンソーシアムに参加したという大きな記事が新聞を飾り、それをきっかけに「ブロックチェーン」という言葉が一気に世に広がり、その波に乗った結果として様々な企業にも提携のオファーを頂き、我自身々の存在も世にアピールすることができた。

そしてそこからすでに1年以上が経過した。

依然、ブロックチェーンという言葉だけが経済メディアを賑わせるものの、未だそれを実用したサービスはほとんどなく、正しい理解をする有識者さえ数が限られている。メディアのハイプが始まってからの時間量に対して、まっとうな書籍の数も翻訳されたものを含んでもごくわずかに限られていることもそれを裏付けている。

問題は、ブロックチェーンの力と、それ自体がもたらすであろうインパクトが大きい物であることは誰にとっても明白であるにもかかわらず、それが創り出す未来の絵と、そこへと向かうマイルストーンを指し示す情報が少ないという事である。これはある意味、IoTにも共通するものがある。

その未来の絵は、それぞれのビジョンの元に集まった数々のブロックチェーンプロジェクトにより異なる。そしてその絵は、ビジネスチャンスの臭いにたかる数々の企業による、自社都合のポジショントークによって解釈と色にフィルターを掛けられた情報として大衆に届けられている。得に日本語の情報では、更にそこから遅れて間違ったものが平然と広がる傾向が強い。

そこには当然のことながら技術的に正しい情報が提供されていたとしても、実用の末に導き出された結果ではなく、あくまでも頭の中で検証したものがほとんどであり、どうしても短視点的な内容になりがちである。

ひどい場合には、その内容は時には競合を牽制する間違ったものであったり、数字を見せるためだけのそこから逆算された空虚な実験結果であったりと、決してブロックチェーンの未来を明るく照らすものだけではない。本来信用すべきとされる情報ソースでさえ、事実からは遠くかけ離れた情報を平然と大きな見出しで届けてしまっていることが大きな問題の一つだ。

本来であれば我々のようなブロックチェーンに携わる者が、それが創る道先を指し示し、来たるべき姿を伝えるべきであるが、目先の日常に追われ、1年が経過しても未だに多くの人にブロックチェーンの力を伝えるにはまるで至っていないことに気づいた。

私はなぜこのようにブロックチェーンの啓蒙には時間がかかるのかを考えてみた。その結果、ここ数十年で生まれた新規技術としては、ブロックチェーンは旧来の技術を組み合わせた発明であるにもかかわらず、その概念自体が斬新であり、既存の感覚と常識では首をかしげざるをえない程の意識改革を必要とし、多くの場合感覚的に興味の対象から除外され、その効果が充分に理解されていないということに気がついた。にもかかわらず、そこには様々な分野から興味や欲の波が押し寄せている。

そして、たいていブロックチェーンを啓蒙しようと努力する我々や、界隈のエヴァンジェリスト達も、それを理解させるために「技術的」な話になりがちであり、そうすると今度は既存概念に縛られた些細な横やりとの議論に時間を浪費して、結論がでないままに尻切れに終わるパターンを繰り返している。よって、経済の意思決定者達がその大きな力の真意にたどり着き、魅せられるまでに至らないケースが非常に多い。

そこで、技術的な話は技術者の皆様にお任せするとして、私自身はビジネスにおいてブロックチェーン技術がどのような力を持ち、既存のビジネス慣習をどのように変え、ビジネスモデルをどのように変容させていくのかを理解して頂くことを第一目標とした啓蒙活動に尽力することにした。

今回始めたこの「ブロックチェーンが創る世界」はその一環であり、そのポリシーは以下の通りとなる。

  • ブロックチェーンのメリットとその理解を最優先とし、厳密に言うと技術的にはおかしいと思われるべき表現もいとわない。
  • 私自身が直接的に携わるビットコイン、NEM、mijinとそれらのビジョンやポリシーに寄った表現となるが、大きな絵としてのブロックチェーンの未来についてはそれらを優先した物ではなく、共通した大きなビジョンについて説く。
  • ブロックチェーンのメリットを理解するために必要な技術については、最小限にとどめて解説する。
  • 実際のビジネスにどのように適用されるかについても、後々具体的に示していく。
  • 思いついたテーマ毎に時間の合間に執筆するため、後に章の順序を変更したり、大きく加筆修正したりすることがある。

「ブロックチェーンはまだ必要ない。」、「ブロックチェーンの実用はまだまだ先だ。」、「ブロックチェーンは自分の分野には関係ない。」そんな言葉を聞く、もしくは口にする人は、先述のような古い情報やポジショントークに踊らされている。ブロックチェーンは既に実用的であり、既に経済への大きな影響力を持ち始めている。何よりもブロックチェーン技術の始祖であるビットコイン自体がその牽引者である。

私が個人としても、提供するサービスにおいてもミッションとして掲げるのが「全ての人にブロックチェーンの力を」である。これを読むことによって、より多くの人、得に経営者や意思決定者の方にブロックチェーンの力についての理解を深めて頂き、それがあらゆる分野を起点として世界を変えていくという未来について語る、語り部の一人となって頂きたい。

テックビューロ株式会社
代表取締役 朝山貴生

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