This entry is part 2 of 2 in the series ブロックチェーンが創る世界

ブロックチェーン技術はビットコインから生まれた。その事実から目を背けたまま進めば、いくらブロックチェーンの力を取り入れようとしても、将来有望とされるこの分野に群がった亡者に翻弄されることに終始するだろう。そして、時間とコストを浪費した末に得られる恩恵は限りなく小さなものとなる。

2015年秋ころから現れた数々のプライベートブロックチェーンのプロジェクトの多くは、ビットコインによって生み出された本質を無視して開発されており、私は近い将来それら製品が自己矛盾に直面すると考えている。あなたがその深みにはまってしまわないためにも私がお勧めするのは、原点に立ち返り、何よりも先にビットコイン自体が生み出した中核的な特徴を抑えておくことである。

ビットコインとは何か?

ビットコインが、謎の人物サトシ・ナカモトによって2008年8月16日に発表されたホワイトペーパー「Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System」から生まれたというエピソードはもうご存じだろう。それから果てしなくビットコインは何だという議論がされてきているが、ホワイトペーパーに書かれたナカモト自身の言葉を借りるとすれば、それは「金融機関を通すことなく直接オンラインで支払うことができる、純粋なP2P版の電子的な現金」となる。日本語としては少しおかしく聞こえるかも知れないが、ここではあえてそうした。ホワイトペーパーの日本語訳ではたびたび「電子マネー」などと翻訳されているが、原文が「electronic money(電子マネー)」ではなく「electronic cash(電子的な現金)」となっているからだ。ここではナカモトの本意を取りこぼしてはならない。

ビットコインの特徴と目的についても同様に、ナカモト自身の言葉からくみ取ることができる。とある暗号関連のメーリングリストにて、ホワイトペーパーについて発表当初から意見交換がされていた。そこでの「しかし暗号技術には政治的な問題への解決は見いだせないだろう。」という意見に対して、ナカモトはこう返している。

「そうだ、しかし我々は軍拡競争における大きな戦いに勝ち、数年間は自由な新しい領土を勝ち取るだろう。諸国の政府はNapsterのような中央管理されたネットワークの首を落とすことは得意だが、GnutellaやTorといったピュアなP2Pネットワークの首はまだつながり続けているようだ。」

その主旨を加味してもう一度まとめ直すとこうなる。「ビットコインとは、一国の政府の一存によっては止めることができず、金融機関を通すことなく直接オンラインで支払うことができる、純粋なP2P版の電子的な現金である。」

このステートメントに対して、今は感情にコントロールされて反応すべきではない。ここで生まれた一見いかにも非常識でアナーキーとも取れる新技術ブロックチェーンが、そこから5年後のMt.Gox大事件を乗り越えながらも世界を大きく動かし始めることとなるからだ。

万人受けしないビットコイン

ビットコインの特徴を、極めて無責任に且つ簡潔に列記するとこうなる。

  • 国が発行したのではない通貨
  • 管理者不在
  • 利用に審査不要
  • 匿名で送金可能

これらを感覚的に受け止めようとすれば、いかにも触れてはならぬような臭いがプンプンする。ビットコインを俯瞰的に理解することを放棄した人々の感情的な反応が、さらに知識のない人々の感情のマイナス面に触れ、負のイメージが世間へと広がる。そこにMt.Goxという燃料が加わり、さらに燃え上がるというパターンが現在もなお繰り返されている。

ビットコインが万人受けしない原因は、既存の思考パターンを切り替えねば、本質的にその仕組みや効能を理解して受け入れることが難しい点にある。しかし一端その本質を見極めれば、ビットコインのこれら特徴は決して感情的に捉えるべき物ではなく、経済的そして社会的に以下に改革をもたらす技術であるかを理解することができるだろう。

まずは、ブロックチェーン技術の生みの親の存在を受け入れてから、その特徴の理解へと進むことにしよう。

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